歯周病から歯を守るために
歯を失う原因で、最も多いのは虫歯。次が、歯肉炎や歯槽膿漏などの歯周病で、歯を失う大きな原因の一つになっています。
歯周病は生活習慣病として位置付けられています。
はじめのうちは自覚症状がなく、発見が遅れがちです。そのため、気付いたときにはすでに重症となり、「歯がグラグラで食べ物も噛めない」といった状態に陥っていることも珍しくありません。
歯周病は口腔内の細菌が原因で起こる病気です。一般的には、1本の歯だけではなく、お口全部の歯に波及しています。
歯を守るためにはできるだけ早期に口内状態を把握し、早期治療と予防を心掛けることが大切です。
歯周病になる原因
- 遺伝
- 長期間の服薬や糖尿病などの病気
- 性ホルモンの不調和
- 過度なストレス
- 喫煙、食習慣
- いい加減な歯磨き
- 喫煙など口内環境への悪習慣
歯周病の症状
こんな症状はありませんか?
- 口臭があり、親しい人から口が臭いと言われたことがある。
- 朝起きたときに、口が粘ついていたり、妙な味がする。
- 歯磨きのときや硬いものを食べたとき、歯茎から出血することがある。
- 歯茎から膿が出ることがある。
- 歯茎が赤く腫れたり、痛むことがある。
- 冷たい水を飲むと歯や歯茎がしみて痛い。
- 歯がグラグラと動く感じがする。
- 歯茎がむずがゆい感じがする。
- 歯と歯の間に食べ物が挟まることがよくある。
- 鏡で見ると、前よりも歯が長くなったように感じる。
歯周病の進行過程
健康な状態
健康な状態でも、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)は1~2mm程度あります。
歯肉炎
歯垢(プラーク)がたまった状態を放置すると、歯茎に炎症が起き、2~3mmの隙間ができます。
歯周病(軽度)
歯茎の炎症がひどくなり、歯周病菌が歯周組織に侵入してきます。歯槽骨や歯根膜が破壊されはじめます。
歯周病(中度)
炎症がさら広がって歯槽骨も半分近くまで破壊された状態。歯のぐらつきが感じられます。
歯周病(重度)
歯槽骨が半分以上破壊されて、歯はぐらぐらになります。
歯周病治療の流れ
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①歯周病の検査
お口の中の写真、歯周ポケットの検査、レントゲン撮影検査などにより、歯周病の進行状況を調べます。
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②検査結果の説明
検査結果ならびに今後の治療方針を、丁寧にご説明します。
歯周病治療には、日常生活の中で行うセルフケアが非常に重要になりますので、ご自身の口内状態をご理解いただくことを大切にしています。
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③歯石の除去(スケーリング)
専用の器械を用いて、歯の根にこびり付いている歯石を取り除いていきます。
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④再評価
再度、口内検査を行い、症状が改善しているか確認します。この段階でも深い歯周ポケットがある方には、再度入念に歯石や菌を取り除く処置や外科処置を行っていきます。
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⑤定期検診
歯肉の状態が改善したから安心、というわけではありません。ケアを怠ってしまうと菌の感染力が抵抗力を上回り、再度歯周病が悪化することにもなりかねません。
歯周病の悪化や再発を防ぐために、3~4カ月に1回の定期検診をおすすめしています。
定期検診では、歯のクリーニング(歯石除去およびバイオフィルムの除去)や、口腔内の状況に応じて歯科衛生士がブラッシングの指導を行います。