症例一覧

2021.07.08更新


こんにちは。八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニック、院長今村です。
歯科検診で「永久歯が欠損しているので乳歯が抜けたあと永久歯は生えてきません」と言われるとどうでしょう?自分のこどもがそのように宣告されると不安になります。妊娠中の食生活や環境の影響によってそのようになってしまったのかとショックを受けてしまいます。
ただ永久歯先天的欠損は珍しいことではなくよくあることです。永久歯の先天的欠損は以前からあるもので病気ではありません。イレギュラーなもので一種の個性ととらえて大丈夫でしょう。先天的欠損のよく見られる部位は下の前歯、第二小臼歯です。

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後続永久歯の先天的欠損と診断され場合、一般にその乳歯はすぐには抜けません。乳歯は永久歯と構造が異なっており永久歯のように強くないため一生もつことはないと考えられますが、40歳くらいまではもつ場合もあります。
永久歯が先天的欠損の場合となりの乳歯は通常より大きくなるという報告があります。最近の子供は顎に対して歯が大きい傾向にあり、先天性の欠損がある場合かえってきれいな歯列ができる場合もあります。先天的欠損の部位や本数、歯列の状態によっては永久歯が欠損している乳歯を早期に抜歯するだけでなく、さらに矯正治療を行ったほうがよいかみ合わせを得られることもあります。1~2本の欠損であれば矯正治療を併用することでよい歯並びになる可能性があります。
ただ欠損が大きい場合、歯列の状態によっては欠損部位に歯を入れなければならないこともあります。
欠損部位の修復方法は3通りあります。
一つめはブリッジという方法です。両隣の歯を削って橋を架けるように人工歯と両隣の歯をくっつけてしまう方法です。保険適用できますがむし歯になっていない両隣の歯を削らないといけないのがデメリットです。

二つめは入れ歯です。入れ歯は取り外しのできる保険適用の方法です。両隣の歯にクラスプとよばれる金属のバネがかかります。入れ歯は慣れも必要ですし、毎日自分で外して清掃が必要になります。

三つめはインプラントという方法です。インプラントは欠損部位の骨にインプラントを埋入し修復する方法です。インプラントは保険適用外であることと、外科処置が必要になります。最大のメリットは両隣の歯を削らなくてもよいことです。土台部分の骨を削ったりすることで不安視されがちですが、ある程度の治療成績も期待できますし、安全も確立されています。

もし欠損部位を放置しておくと歯は水平移動することはなく欠損方向に傾斜してきます。そうなるとその部分の噛み合わせが変わるだけでなく歯列全体の噛み合わせが変わってきます。欠損を放置すると見た目だけでなく機能的にも悪影響を及ぼします。
残念ながら欠損が生じた場合は早めに治療することをお勧めします。
                                                                                                                        歯学博士 今村英之 

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.06.07更新


こんにちは八幡西区の歯医者、いまむら歯科クリニックの院長今村です。
むし歯で歯が欠けてしまうと修復が必要になります。現在では材料学が進歩してたくさんの素材がありますが、保険で使用できるもの保険外で使用するものと決まっています。

保険
まず保険で使用するものについて説明しましょう。
保険診療は使える素材が部位によって決まっています。下の小臼歯の場合、一般的には金銀パラジウムの金属インレー、削った部位が小さい場合はコンポジットレジンによる修復で対応します。金銀パラジウムはいわゆる銀歯のことです。保険適応の金銀パラジウム合金は金の含有量が12%以上、その他銀とパラジウムを含む金属と規定されています。保険適応の金属はすべてJIS規格のものなので安心です。余談になりますがテレビやネットのニュースでも報道されたことがありご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この金銀パラジウム合金がすごく高いのです。金属なので価格変動があり高値のときは金属のかぶせ物、詰め物をすると保険点数は決まっているので赤字になってしまいます。この金銀パラジウムの高騰は私たち歯科医師を悩ませています。
この金銀パラジウムで修復するメリットは保険適応なので患者さんの経済的負担が少ないことです。金属で強度もあるので耐久性もあります。
削った部位が小さい場合に行うコンポジットレジンは白色の歯科用のプラスチックです。むし歯が小さく十分に歯質が残っている場合が適応になります。コンポジットレジンは保険適応で1~2千円の自己負担で治療ができます。ただケースを選びますのでできるかどうかは診断をしてからになります。たまに患者さんで奥歯も保険の範囲で白くしたいのでコンポジットレジンを詰めてほしいと要求される方がいますが、適応外のケースに無理に行うと欠けたり外れてしまいます。
コンポジットレジンは特殊な光を当てて硬化させます。硬化させる前は柔らかいペースト状なので、内側性(四方に歯質がある)の小さなむし歯が対象になります。銀歯より目立ちにく白い詰め物で修復したいものですが無理な治療は後々トラブルの原因になります。

保険外のものだと金属修復ではゴールドがあります。白いものならジルコニアやe-maxがあります。
ゴールドはいわゆる金歯です。見た目は目立つかもしれませんが延びる性質があり保険の金属に比べると柔らかいのでフィットがよく、対合歯(反対側の歯)を摩耗させることがありません。
ジルコニアは高圧縮されたセラミックのブロックを削って作製します。そのため高い強度を持っています。e-maxは高い強度と透明感をもっているため審美性に優れています。
ジルコニアとe-maxの違いは強度と審美性にあります。審美性ならe-maxの方が優れています。強度はジルコニアに軍配があがります。噛む力が強い男性の奥歯などはジルコニアが適しています。一方、笑ったり大きくお口を開けるとみえる小臼歯の部位はe-maxのほうが向いています。その方の噛み合わせの状態や習癖(歯ぎしり)を考慮して素材を選択する必要があります。
                                                                                                                       歯学博士 今村英之

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.05.09更新


新型コロナウィルスがまだまだリバウンドを繰り返し減ったり増えたりしています。福岡県は3度目の緊急事態宣言が発令されました。人類の歴史は感染症との闘いだったと言われています。インフルエンザウイルスや他の感染症に対しては特効薬やワクチンがあります。新型コロナウィルスに対してもワクチンが開発され医療従事者から優先的に行われているようですが、副作用の問題など課題があるようです。当院も2月にワクチン接種希望者の申請をしましたが、まだ順番が回ってきていません。コロナウィルスに対するワクチンや特効薬の有効性が確立しなければ、マスクの着用、3密も回避、イベントの自粛が行われまだまだ本来の生活様式に戻ることはないでしょう。

グラフ

さて、先日国会答弁で口腔ケアの重要性が取り上げられていましたのでお話したいと思います。
歯科医院ではお口を開けたままでの状態で飛沫もとぶので、コロナウィルスの感染に対して歯科治療は危険だと危惧されていました。しかしこの1年間、歯科治療を介して感染が拡大したような事例はないといわれています。たしかに歯科医院での感染やクラスターも報道されたことがありましたが、それは歯科医院に勤めている従業員が外部からもらってきたものを歯科医院で感染拡大させてしまったものです。ちなみに当院では従業員には会食や不要不急の外出などを自粛するようにお願いし、昼食時もスタッフルームではなく別々に食べるようにしています。せっかくのお昼ご飯、楽しく話しながら食べたいものですが、万が一コロナ感染者が出た場合に被害を最小限にとどめるためそのような措置をとっています。ではなぜ医科の病院ではクラスターの発生などがたびたび起こってしまいましたが、なぜ歯科医院ではそのようなクラスターが起こらなかったのでしょうか。それは私たち歯科医師、歯科衛生士は常日ごろからマスクやグローブをして診療を行っています。器具の滅菌消毒、診療台の清掃も患者さんごとに行い、コロナウイルスの感染だけではなく他の感染症に対しても自分が感染しないように患者さんを感染させないように十分に注意をしています。
口腔ケアは感染症に対しても有効であり、感染防止のためには3密を避け手洗い十分な睡眠と栄養を摂り適正な歯みがきを行うとも大切です。適正な歯みがきは自己流ではなかなかきれいに磨けません。特に歯石は歯みがきでは取り除くことはできず、歯周病菌の巣になってしまいます。ふだんから歯科医院で定期検診、歯石除去を行っておく必要があります。

 

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.04.08更新


みなさまこんにちは。八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニック、院長の今村です。

4月になり新年度がスタートしました。今回は第二大臼歯のむし歯のリスクについてお話させていただきます。

12y
6歳臼歯という言葉を聞いたことがあるかと思います。では12歳臼歯って聞いたことありますか?あまり聞きなれない言葉かもしれません。12歳臼歯は専門用語で12歳くらいに生えてくる永久歯で第二大臼歯というものです。永久歯の中で親知らずを除けば一番最後に生えてくる一番奥の歯になります。12歳臼歯が生えて大人の歯列が完成するのでとても重要な歯です。12歳臼歯は注意をしないとむし歯になってしまいます。
むし歯になりやすい理由は生えはじめの永久歯はまだ歯の質が弱く、乳歯が抜けて生えるわけではないので生えたことに気づきにくい、また一番奥歯にあるので歯ブラシが届きにくいことが原因として挙げられます。あと思春期における生活環境も関係しています。12歳ころ、中学生になると塾や部活で歯科医院に行く時間がなくなり今まで通っていた定期検診にも通わなくなってしまいます。また親の管理下ではなく自由に好きな時間におやつを食べたりするようになり、親の目が届かないところでも飲食をするようになります。歯みがきの習慣も親の管理が行き届きにくくなることも原因です。
12歳臼歯にむし歯をつくらないようにするためにはまず生え始めに気づくことが大切です。お子さんがそれに気づくことはなかなかできないし、親御さんがお口の中を覗き込んで確認することも難しいと思います。早く気付く方法は歯科の定期受診をしっかりと継続的に行うことです。12歳臼歯が生えてくる時期は定期検診の間隔を短くして生え始めを見逃さないことが大切です。生え始めを確認したら歯科医院では適切な予防処置と指導を行います。歯のブラッシング方法の説明や歯の表面のクリーニング、歯の溝へのシーラントを行います。
ご自宅でのケアはフッ素入り歯みがき剤をつかいましょう。フッ素濃度1000ppmのものよりも1450ppmの高濃度のフッ素が配合されたものがお勧めです。その後はできるだけ少量の水でお口をすすぎ、できるだけフッ素がお口の中に残るようにします。

第二大臼歯(12歳臼歯)は生え始めの時期だけでなく奥にあるためブラッシングが適切に行われずむし歯なりやす状態です。20歳ころになるとその奥の親知らずが生えてきて、親知らずとの間にもむし歯ができやす環境にあります。不幸にしてむし歯ができてしまった場合、早期に治療することをお勧めします。第二大臼歯は歯根の形態が樋状根といって歯の根が複雑な形態をしたケースが全体の30%ほど存在します。根の形態が複雑なため痛みが出て歯の神経を取らなければならない場合、治療が困難になり治療後も予後があまりよくありません。
早期発見、早期治療が大切です。

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.03.14更新


こんにちは。院長の今村です。

 福岡県のコロナウイルス感染の緊急事態宣言も解除されましたが、まだまだ新規患者が増えており予断が許せない状況です。東京オリンピックの準備も進められているようですが、無事に開催することができるのか不安です。

さて、今回は入れ歯についてお話したいと思います。入れ歯には保険の範囲で作れる入れ歯と保険外で作る入れ歯があります。

入れ歯
どちらがよく噛めるのかといえばそんなに大きな差はありません。よく噛める入れ歯とは簡単にいうと動かない入れ歯です。保険の入れ歯だからといって機能的に問題があるわけではありません。しかしもっと快適に噛みたい場合や見た目をよくしたい場合保険と自費の違いが出てきます。
保険の入れ歯の歯ぐきを覆う部分(義歯床といいます)はアクリルレジンというプラスチックの一種でできています。プラスチックではどうしても強度的に弱いので割れるのを防ぐためにある程度厚みが必要になります。厚みを確保するとどうしてもお口の中で存在感があり違和感、異物感が生じてしまいます。一方自費の入れ歯では義歯床の一部を金属にすることができます。金属にするとアクリルレジンで作製するより強度を保ちながら薄くすることができるので、お口の中のスペースが広くなります。広くなると舌の動くスペースができるので使い心地が向上します。また薄くなり金属も使用するので食べたものの温度も伝わりやすくなります。また人工歯の部分も変色しにくい丈夫で長持ちするものを使用します。保険と自費の部分入れ歯の大きな違いは快適性だと思います。

また保険の入れ歯で一番気になってしまうのがクラスプという入れ歯を固定するバネです。クラスプは保険の入れ歯では金属で作製するので目立ってしまいます。自費の部分入れ歯の場合、このクラスプの材質を変えたり、クラスプを使用しない義歯もあります。クラスプを使用しない固定法にはいくつか種類があります。磁石やアタッチメント(ボタンのようなもの)で固定するタイプは目立たず、残った歯への負担も軽減されます。コーヌスクローネ、AGCテレスコープ義歯は被せ物と義歯を連結した義歯で見た目がきれいで外れにくい義歯です。
見た目が気になるかたに一番手軽なのがノンクラスプデンチャーという部分入れ歯です。これは保険義歯のクラスプという金属のバネの部分が歯ぐきと同じピンク色でできています。このタイプは金属アレルギーの心配がないという利点もあります。
保険と自費の部分入れ歯の大きな違いに設計の自由度があります。保険の入れ歯では使用する材料や設計に制限があります。自費の部分入れ歯の場合制限がないため設計の自由度があがり、患者さんのお口にフィットするものを提供できます。いまむら歯科クリニックでは様々な特殊な技術を要する義歯の作製にも対応しております。

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.01.31更新


こんにちは。院長の今村です。1月も今日で終わりです、早いですね。

今回はエナメル質形成不全と紫外線の関係についてお話します。

紫外線を浴びることで体内に合成されるビタミンDは骨や歯の成長には必要です。が、このビタミンが欠乏しているお母さんたちの胎内で育ち母乳で育てられたお子さんたちにエナメル質が弱い「エナメル質形成不全」が増えています。

歯のできがよくないエナメル質形成不全のお子さまが増えてきています。私たち歯科医師も普段診療をしていて実感します。10年前であれば10人に1人くらいの割合でしたが、細菌のデータでは5人に1人くらいに増加しています。

歯は乳歯でも永久歯でも形成される時期は決まっています。エナメル質のできに問題がある場合、その時期に歯の発育を妨げる何らかの問題が生じています。その時期は乳歯なら妊娠4~5か月くらいにエナメル質が形成されます。永久歯は生まれてから硬くなりはじめ3歳くらいまでにエナメル質ができあがるのでこの時期に何らかの問題が生じています。

妊婦

考えられる原因は遺伝的要因と環境的要因があります。歯が正常に育たない遺伝子をもつお子さんや高齢出産が増えると増加するとされる遺伝病が歯の発育に影響を及ぼすこともあります。しかし環境的要因も考えらえます。歯が形成される妊娠期から出生後の幼児期までの環境に問題が起きていると考えられます。
原因はおそらくビタミンD欠乏症と考えられています。
エナメル質形成不全は世界中で増加しているといわれていますがアメリカではあまり増加していません。アメリカはビタミンDの摂取を推奨しており食品に添加していたり妊産婦にサプリメントを取らせたりしています。ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を促進し骨や歯の発育には必要な栄養素です。実際にビタミンD欠乏症が原因でお子さまのクル病が増えていると報告があります。これと同じように歯の成長期におけるビタミンDの不足がエナメル質形成不全をおこしているのではないかというのが有力説になります。

母乳保育のほうがビタミンD欠乏症のお子さまが多いといわれています。お母さんのビタミンDが欠乏していることで、その母乳で育ったお子さまにも影響が出てしまします。
お母さんたちのビタミンD不足は食生活の変化が原因です。ビタミンDは魚やキノコの多く含まれていますが、最近では魚はあまり食べない若い方が増えているのではないでしょうか。もうひとつは紫外線対策によるビタミンDの欠乏が原因です。ビタミンDは食べ物から摂取する以外に皮膚が紫外線を浴びて体内で合成され、質の良いビタミンDを得ることができます。
夏前になると多くのメーカーから日焼け止めクリームが発売されます。女性の方は熱心に顔だけでなく腕や足にも塗ります。
食生活の変化と徹底した紫外線対策がエナメル質形成不全の原因と現段階では推測されています。確定したデータを得るにはあと数年かかります。エナメル質形成不全は歯の構造がもろいのでむし歯のリスクが高く、詰め物をしてもはずれやすいので治療を行っても繰り返してしまいます。
エナメル質形成不全を増やさないためにビタミンDの欠乏に気をつけてください。

 

投稿者: いまむら歯科クリニック

2020.12.24更新

こんにちは。院長の今村です。今年も残すところあとわずかとなりました。コロナ渦でイベントが少ないせいか、時間が経つのがいつもより早く感じます。

さて今回はフッ素についてお話しましょう。

むし歯予防にたいへん効果のあるフッ素。フッ素は私たちの身近の土や海、川の水にも含まれている自然界にも存在するものです。今回は歯科医院で受けるフッ素歯面塗布ついてお話します。
フッ素の歯面塗布は歯の表面に高濃度のフッ素を塗るむし歯予防の方法のひとつです。フッ素の歯面塗布は何歳くらいから受けると良いかご存知でしょうか?
答えは1歳半です。
当院のある北九州市では1歳半歯科検診の案内がお子さまが1歳半になると市からはがきでお知らせがくると思います。この頃のお子さまのお口の中の状態は奥歯もしっかりはえてきてしっかりとご飯も食べられるようになるので、離乳もすすみむし歯のリスクが高くなってくるのでむし歯予防に取り組む必要があります。検診と一緒にむし歯を予防するためにフッ素塗布を行うと効果的です。

フッ素

フッ素の歯面塗布ってどんなことをするのか心配だと思う方もいらっしゃるかと思いますが、お子さまでも簡単に受けることができます。歯の表面に直接ジェルや泡状のフッ素を塗って歯を丈夫にします。ご自宅で行う歯みがき剤や洗口液によるむし歯予防と違うのは歯科医院で使用するフッ素は濃度が高いものを塗布します。現在、日本で販売されている歯みがき剤にはほとんどフッ素が入っています。しかし、一般の歯みがき剤のフッ素濃度は高くても1500ppm。ちなみに歯科医院でフッ素歯面塗布に使用するものの濃度は9000ppmもあります。ぜんぜん濃度が違うでしょう。これは歯科医院でしか取り扱うことができず、一般の方がご自宅で使用することはできません。濃度が高くても身体に悪い影響を与えることはありませんのでご安心ください。

フッ素塗布剤を歯面に塗っておくと歯の表面にむし歯になりにくい硬い結晶構造ができますが、これは定期的に歯科医院で受けていないとむし歯の予防効果は下がります。少なくとも年に2,3回、むし歯ができやすのであれば年に5,6回は受けることをお勧めします。
年に2回の塗布だとむし歯予防効果は20%くらいですが、やったりやらなかったりだとあまり効果がないといわれています。

フッ素の歯面塗布は生えたての歯に一番効果があります。生えたての歯は幼弱でむし歯になりやすい状態です。でもその分フッ素を取り込みやすく表面も硬くなりやすい状態です。乳歯をむし歯から守るなら奥歯が生えてきた1歳半くらいが適しています。永久歯を守るなら第二大臼歯が生え終わるまで続けると良いでしょう。中学生までは定期的に歯面フッ素塗布を受けるのがいいです。あと大人でも歯周病によって歯ぐきが下がってしまい歯根が露出した場合の根面う蝕の予防にも効果的です。
むし歯のない健康なお口はお子さまへの素晴らしいプレゼントです。

投稿者: いまむら歯科クリニック

2020.11.19更新


こんにちは。院長の今村です。
コロナウイルス感染者数が全国的に増えてきています。東京、北海道は毎日最多を記録しています。福岡県はまだ少ないようですが今からの忘年会の時期、自粛をしないとどんどん増えてしまうかもしれません。今年は当院の忘年会、歯科医師会の忘年会や会食は中止となりました。当然といえば当然ですが一年の最後くらいみんなで楽しく飲みたいですね。

さて、今回は前回に引き続き口臭のお話をしたいと思います。歯周病が口臭の原因になることはお話ししましたが、歯周病のほかに大きな臭いのもととなるのは溜まったプラークや舌の汚れです。また象牙質まで及んだむし歯も臭いの原因となります。

口臭
1歯周病になっている歯周ポケット
 歯周病が進行してできてしまう歯と歯ぐきのあいだの歯周ポケットの中にはプラークや歯石のほかにも歯ぐきの死んだ細胞や血液、体液、細菌の排泄物が溜まり臭いを発します。この歯周ポケットの清掃は歯科医院でしかできません。歯周ポケットのプラークコントロールは歯科医院で早めに行いましょう。
2溜まったプラーク
 溜まったプラークは歯周病やむし歯の原因になるだけではなく、臭いのもとにもなります。磨きのこしが多い部位は上であれば奥歯の頬っぺた側、下であれば奥歯の内側です。どちらも歯ブラシが届きにくい部位です。溜まったプラークは時間が経つと歯石になり、さらにプラークが付着する足場となります。また入れ歯の方は入れ歯自体のお掃除もかかせません。
3象牙質まで進行したむし歯
 歯の表面は硬いエナメル質でおおわれています。組成はほぼ無機質ですが、その下の象牙質は3割ほどがタンパク質でできています。むし歯が進行するとタンパク質が細菌によって分解され臭いを発します。象牙質に達するむし歯があると口臭の原因になります。むし歯は自然に治ることはありません。早めに治療しましょう。
4舌のよごれ
 毎日歯はしっかりと磨いているかと思いますが、意外に舌のお掃除はされていないのではないでしょうか?舌のよごれ「舌苔」も臭いの原因になります。舌苔とは文字とおり舌の表面の苔のようにおおっている汚れです。舌の表面は微細なひだがたくさん存在します。これらの突起は「舌乳頭」とよばれ毛足の長いじゅうたんのような構造になっています。このじゅうたんの構造の上に付着するのが新陳代謝ではがれたお口の粘膜の細胞や細菌です。これらが厚い層となったものが舌苔です。
舌苔がない状態だと舌の表面は多くの白い点と赤い点が存在しています。これらはそれぞれ舌乳頭の一部で、白い点は「糸状乳頭」赤い点は「茸状乳頭」とよばれています。
「糸状乳頭」の白い点を舌苔と間違えて歯ブラシで強く磨いてしまう方もいますので、混同しないように気をつけてください。歯ブラシを強く当てすぎて傷をつけてしまうと、口臭が生じたり、味覚の異常を起こしてしまいます。白い点が見える場合は舌苔は付着していないと考えてよいでしょう。

投稿者: いまむら歯科クリニック

2020.10.22更新


こんにちは、院長の今村です。朝夕は少し肌寒くなり秋らしい季節になりました。皆さま風邪をひいたりしてないでしょうか?気をつけてくださいね。
今回は口臭についてお話します。人と話をしていて他人のお口の臭いが気になったことってありませんか?自分も口臭がしてないだろうかと心配になりますよね。今回は口臭についてお話をしたいとおもいます。

ほとんどの方が自分の口臭が気になるといわれています。「気にしすぎなのかな❓」「本当に臭っているかな?」など心配になるかと思いますが、口臭は誰にでもある程度は存在します。

特に朝起きたときに息を吐きだしたときに自分の口臭を感じることはあると思います。でもその後朝食を取ったり歯みがきをすると気にならなくなるはずです。これはお口の中の臭い物質が食事や歯みがきで減少しているからです。一日のなかで自然に増減するこうした口臭は「生理的口臭」」といわれています。起床時に生じる口臭や臭いの強い食べ物を食べた時に生じる口臭も一時的なものです。

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一方、強い臭いを持続的に発する「病的口臭」もあります。「病的口臭」は臭いの原因はありなくならないかぎり存在し続けます。原因には歯周病などのお口の病気、お口の中とつながっている鼻の病気、内臓などからだの病気が考えられます。
からだの病気の臭いがお口から臭う場合、からだの病気が発する臭い物質が血液に乗って肺に達し呼気として吐き出されるというのはかなり病気が進行しています。また「食べ物の臭いが胃から上がってくる」というのも、食道と胃の境界には括約筋があるのでふつうは閉じられています。よって強い口臭の原因はお口の中にある可能性があります。

それではお口の中に臭いの原因がある歯周病菌についてお話しをしましょう。
細菌のなかでも歯周病菌などの酸素を嫌う菌(嫌気性菌)が腐敗臭をともなう臭いの物質を産生します。その細菌が唾液や血液、剥がれ落ちたお口の中の粘膜、食べかすに存在するタンパク質を分解したとき、揮発性の硫黄化合物―硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドなどを出します。女性では月経や妊娠によるホルモンバランスの変化によってお口の中にいる歯周病菌が活発化し口臭が増加するといわれています。
また細菌の活動には唾液も影響します。口臭は朝起きた時が一番つよく、それから食事や歯みがきをするたびに下がってきますが、時間がたつとまたつよくなってきます。唾液には細菌を洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりする働きがあります。起床時に臭いが強いのは寝ている間は唾液の分泌が減るので、お口の中の細菌が繁殖するためです。唾液の量によって口臭に影響するので、ドライマウスや内科的なお薬の服用によって唾液の量が減少すると口臭も強くなってきます。

投稿者: いまむら歯科クリニック

2020.09.22更新


こんにちは。院長の今村です。コロナウイルス感染者数も少なくなってきています。このまま二度と再発することなく収束してくれると願っています。
さて、前回新潟県の子供のむし歯が全国一少ないことをお話ししたと思います。今回はその続きになります。まずフッ素が歯を強くする仕組みからご説明しましょう。
フッ化物(フッ素)はお口の中でどのようにしてむし歯予防に役立っているのでしょうか?
お口の中では飲食後、細菌の出す酸や飲食物に含まれる酸によって歯からカルシウムが溶けだします。これを脱灰といいます。その後時間が経ってくると、唾液の作用によって徐々に溶けだしたカルシウムが歯に戻ってきます。これを再石灰化といいます。このときにフッ化物がイオンの形で唾液中にあると再石灰化のスピードが速くなりかつ、歯の表面の結晶を硬く大きなものに変化させ、歯の表面の結晶性を増加していきます。その結果、酸に対する抵抗性が増してむし歯になりにくい歯になります。この仕組みは歯磨き粉に含まれているフッ化物と同じです。フッ化物洗口の場合は、そのあとうがいをしないので適度な量がお口の中に停滞してくれます。ただしフッ化物洗口はすぐに効果が出るものではありません。数年かけて徐々に歯の質を強化していきます。
前回お話しした新潟県では保育所の児童から中学校の卒業まで、約10年かけてフッ化物洗口が行われています。この時期は義務教育期間なので多くの子どもたちがフッ素の恩恵を受けることができます。またこの時期は永久歯へと生えかわっていきます。生えかわったばかりの永久歯は歯の表面の質が弱くむし歯になりやすい状態です。ちょうど保育所から中学卒業までの期間は生えかわりの歯の質が弱い時期です。この時期にフッ素を歯に作用させるのはむし歯に対してとても有効です。むし歯のない健康なお口の状態はお子さまへのすばらしいプレゼントです。

フッ化物洗口はご自宅でもできます。当院で取り扱っている洗口液をご紹介しましょう。ライオンが販売されているフッ化ナトリウムです。
顆粒を水に溶かして使うタイプのものもありますが、ライオンのものはそのままあるいは水で薄めて手軽に使用することができます。

フッ素の役割
メーカーからさまざまなものが出ていますが使用方法はどれも同じで1日1回歯みがき後に5~10mlをお口に含んで30秒~1分間ぶくぶくうがいをして吐き出すだけです。その後はすすがず、30分は飲食を控えます。夜、寝る前にすると効果的です。
フッ化物洗口は子供だけでなく大人にも有効です。加齢や歯周病によって歯ぐきが退縮してしまい象牙質が露出している場合など、歯の根元のむし歯予防になります。また詰め物などの2次カリエスの再発予防にも効果があります。
毎日のお口のケアとして取り入れてみてはどうでしょうか?

投稿者: いまむら歯科クリニック

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