むし歯のお話をさせていただきます。まずはむし歯の進行についてです。
歯は外側からエナメル質、象牙質、歯髄と3層構造になっています。
エナメル質にできたむし歯をC1、象牙質まで進行したむし歯をC2と言います。さらに歯の神経までむし歯が進行したものをC3、むし歯が進みすぎて歯の形がなくなり根だけが残ったものをC4と言います。
C1だと特に自覚症状など出ることはありません。C2までむし歯が進行すると冷たい物、熱い物を口に含んだ時にしみるようになってきます。さらにC3までむし歯が進行すると冷たい物暑い物のしみがひどくなってきます。そしてズキズキ痛んだり、ときには激しく痛みます。夜になると歯が痛むのはむし歯が歯の神経まで進行した典型的な症状のひとつです。
C4までむし歯が進行するとずきずきと痛んだり、歯の周りの歯ぐきが腫れてきます。歯の中の神経は失活(神経が死んでしまう)しているため冷温水痛は感じなくなります。
治療方法はそれぞれの段階によって変わってきます。
C1の治療法は少し削って白いプラスチックの詰め物をします。1回で治療が終わります。
次にC2の治療方法です。むし歯が少し大きいので麻酔をして大きく削り、型を取り大きな詰め物になります。詰める物の素材は、保険治療で行うなら白いプラスチックか銀歯になります。保険外のものだとセラミックスやさまざまな素材を選ぶことができます。
そしてC3の治療方法です。むし歯が歯の中の神経まで達しているので麻酔をして歯の神経を取る治療が必要になります。神経を取ったあとは数回消毒と薬の交換を行い状態が良くなったら神経のあったところにお薬を詰めて、土台を立てて被せ物を作る治療へと進みます。歯の根の治療にはむし歯の感染具合によって数回で終わることもあれば、感染がなくなるまで10回ほどかかる場合もあります。
被せ物の種類は保険治療で行う場合銀歯になります。
C4までむし歯が進行した場合は残念ですが抜歯となります。
むし歯の進行で注意したいのは、むし歯がC3まで進行しないようにすることです。C2とC3の間には大きな差があります。むし歯がC3まで進行してしまうと歯の神経を取るため、治療が複雑になり時間と回数がかかります。また神経を取ることにより歯の寿命も短くなってしまいます。
もし不幸にしてむし歯が出来てしまってもC2で留めていただきたいです。そのためには定期検診での早期発見が必要です。