症例一覧

2021.09.30更新


こんにちは。八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニックの院長今村です。
「私は父が歯が悪かったから私も歯が悪いのです」
「うちの家族はみんな歯が悪いのです」
「・・・・」

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今回はむし歯は親から子どもに遺伝するのかについてお話ししましょう。
家族に歯が悪い方がいると遺伝のせいでむし歯になりやすいと考えてしまいがちです。
むし歯とは「お口の中の糖を栄養源として増殖するむし歯菌が排出する酸によって歯が溶けてしまう病気」です。酸によって溶けてしまい柔らかくなった歯が欠けてしまうことで歯に穴が開いてしまい、放っておくとどんどん歯の内部へとむし歯が進行します。最終的には歯の欠損へとつながる恐ろしい病気です。実際、歯を失ってしまうおよそ30%がむし歯によるものです。

むし歯の原因となるむし歯菌(ミュータンス菌)は親から子供へと遺伝はしません。むし歯菌はあかちゃんのお口の中には存在しないことが分かっています。しかし、むし歯のなりやすさへとつながる間接的な要因の歯並びやかみ合わせの問題、唾液に性状などは遺伝する場合があります。
むし歯はプラーク(歯垢)内のむし歯菌が原因となって発症します。しっかりと歯垢を落としお口の中の清潔を保つことで予防できると考えられています。また、甘いものを控えたり、間食の習慣をやめたり、就寝前の食事を減らすこともむし歯予防につながります。
また赤ちゃんのいる子育て世代の方はキスをしたり、同じスプーン・フォークで食べ物を与えないようにしてむし歯菌を伝染させないようにすることも大切です。お父さんお母さんもむし歯があるならしっかりと治療をしておきましょう。むし歯になりにくい生活習慣を徹底することが大切です。
お父さん、お母さんの食生活が子どもに影響を与えることは言うまでもありません。おやつを食べるときは時間を決めてしましょう。だらだらとジュースを飲んだり、デスクワークをする時に甘いコーヒーを飲みながら行ったり、あめ玉をず~となめていたりするとむし歯のリスクが高くなります。時間を決めて行うことが大切です。
以上をまとめると
むし歯菌は遺伝しません。
歯並びやかみ合わせ、唾液の性状などむし歯のなりやすさへとつながる間接的な要因は遺伝します。
家族の生活習慣がむし歯になりやすい環境をつくることがあるので、歯みがきは毎日食後にきちんと行うようにしましょう。

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.09.11更新


こんにちは。八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニックの院長今村です。

子どもの歯並びが悪く、学校歯科検診で「歯並びに不正があります」。と指摘をされると心配になったりします。
矯正治療っていつから始めればいいのか?
早めに始めれば始めるほどいいのか?

矯正

ご説明しましょう。
こたえは「早ければ早い方が良いということではありません」。

いつから始めたたらいいの?という質問に対して判断は難しくて簡単にはお答えできません。
成長後の適正な歯並びやかみ合わせを考慮しながら、将来的な成長を予測しながら現時点で必要なこと、治療内容、期間、費用などまた治療におけるリスクを十分に検討しながらいつ始めるのかを歯科医師と相談して決めていくことが必要です。
「できるだけ早く始めたほうがいい」という考え方は早期発見、早期治療で良い考え方のように感じますが、歯並びやかみ合わせの不正は遺伝的、先天的に生じる割合が高いので成長とともに生まれもった不正が出てくることが多く、永久歯に生え変わっていくという発達、発育の過程もともなうことから、早く始めるだけでは対応することができず、かえって治療が長引いたりします。とうぜん早く始めたほうが良い患者さんもいますが一概には言えません。早期に治療を始める場合として診査の結果、有効性が高いと判断された方や、現状ではとても噛みにくく困っている方、また見た目をすごく気にされている方が対象になります。しかし早期治療を行ったからといって、その後の矯正治療が不要になるわけではありません。
早ければ早い方が良いというわけではなく、基本的に永久歯列が完成(12~13歳)してから治療を行うことで問題ありません。

子どもの時期に拡大矯正治療やマウスピース矯正をすれば良くなるわけではありません。幼い時期に歯並びを広げれば大人になってからの歯並びやかみ合わせが良くなるわけではありません。「幼い時期に拡大治療を行えば、あごが広がって大きくなり将来歯並びがきれいになる」という考えのもと、乳歯列期や混合歯列期に拡大を行う先生もいますが、あごは矯正で大きくなりません。歯は力を加えると動くので一時的には歯列とあごの骨が広がったように見えますが、力を加えることをやめてしまうとまた元の状態に戻る傾向があります。
現在、「早い時期の拡大治療」に関する有効性を永久歯列期の矯正治療終了後に評価した報告はありません。また拡大治療は歯を抜かなくてよい治療と関係があることから、歯を抜かない場合の矯正治療についてもしっかりと説明を受けてください。       歯学博士 今村英之

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.08.04更新


こんにちは。八幡西区の歯医者、いまむら歯科クリニックの院長今村です。
暑い日が続きます。オリンピックもメダルラッシュで盛り上がっています。開催する前は無事に出来るのか、盛り上がるのかなど心配でしたがいざ始まると楽しいですね。また真剣に頑張っているアスリートの姿には感動と勇気を与えてくれます。

さて今回は歯の着色と初期のむし歯についてお話します。
歯に茶色のスポットが生じてむし歯が出来たと不安になったことはありませんか?
歯は飲食物や喫煙の影響を受けてすぐに着色したりすることがあります。
単なる着色と初期のむし歯の判断は非常に困難で歯科医師によっても意見が分かれます。
コーヒー、紅茶、お茶、ワイン、カレーなどは着色の付きやすい食べ物です。

着色と初期のむし歯

むし歯は自然に治ることはないから早めに治療することをお勧めしていますが、初期のむし歯には進行の早いものと遅いものがあり、遅いものは予防をしっかり行うことで進行を遅らせたり、停止させたり、再石灰化といって治すことも可能です。以前と違ってむし歯に対する考え方が変わってきています。「むし歯は脱灰と再石灰化のプロセス」といわれています。歯の表面では脱灰(歯を溶かす)と再石灰化(歯の修復)が行われています。そのバランスが崩れ脱灰に傾くと初期のむし歯になりさらに進むと治療が必要なむし歯になります。歯を削って治療しなくてもいいように初期のむし歯は予防して経過観察をすることが大切です。予防を徹底し、進行を遅らせたり止めたりすることが出来ればすぐに削って詰め物をするよりも将来多くの歯を残すことができます。もし経過を観察して進行が見られるようであれば治療を行います。むし歯の進行は唾液の歯を守る能力、フッ素の使用状況、食生活、歯みがき習慣によって変わります。またむし歯のできている部位によっても変わります。
患者様のなかにも「この前歯医者に行ったのに歯に黒いものがある」。「かかりつけの先生から小さいむし歯なので経過をみましょうと言われたが、心配なので治療してほしい」といった声を聞きます。これは小さいむし歯なので経過観察で大丈夫ということです。
ただ経過観察といっても放っておいてよいということではありません。初期のむし歯であってもむし歯になりかかっているので歯科医院を受診して、歯みがき指導、食事指導を受けたほうがよいでしょう。またその後もむし歯が進行していないか、歯みがきがきちんとできているかをチェックするため1~3か月の定期検診を受けてください。

むし歯は初期の段階であればしっかりとした管理を行い進行や停止させることができます。当院の場合むし歯を削るかどうかはメリット、デメリットを考えさらにむし歯の深さ、むし歯のある部位(よごれが停滞しやすい部位なのか)、患者様のブラッシングができているか、食生活、唾液の状況、むし歯のリスクが高いのかなどを診断して治療を決定します。

                      歯学博士 今村英之

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.07.08更新


こんにちは。八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニック、院長今村です。
歯科検診で「永久歯が欠損しているので乳歯が抜けたあと永久歯は生えてきません」と言われるとどうでしょう?自分のこどもがそのように宣告されると不安になります。妊娠中の食生活や環境の影響によってそのようになってしまったのかとショックを受けてしまいます。
ただ永久歯先天的欠損は珍しいことではなくよくあることです。永久歯の先天的欠損は以前からあるもので病気ではありません。イレギュラーなもので一種の個性ととらえて大丈夫でしょう。先天的欠損のよく見られる部位は下の前歯、第二小臼歯です。

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後続永久歯の先天的欠損と診断され場合、一般にその乳歯はすぐには抜けません。乳歯は永久歯と構造が異なっており永久歯のように強くないため一生もつことはないと考えられますが、40歳くらいまではもつ場合もあります。
永久歯が先天的欠損の場合となりの乳歯は通常より大きくなるという報告があります。最近の子供は顎に対して歯が大きい傾向にあり、先天性の欠損がある場合かえってきれいな歯列ができる場合もあります。先天的欠損の部位や本数、歯列の状態によっては永久歯が欠損している乳歯を早期に抜歯するだけでなく、さらに矯正治療を行ったほうがよいかみ合わせを得られることもあります。1~2本の欠損であれば矯正治療を併用することでよい歯並びになる可能性があります。
ただ欠損が大きい場合、歯列の状態によっては欠損部位に歯を入れなければならないこともあります。
欠損部位の修復方法は3通りあります。
一つめはブリッジという方法です。両隣の歯を削って橋を架けるように人工歯と両隣の歯をくっつけてしまう方法です。保険適用できますがむし歯になっていない両隣の歯を削らないといけないのがデメリットです。

二つめは入れ歯です。入れ歯は取り外しのできる保険適用の方法です。両隣の歯にクラスプとよばれる金属のバネがかかります。入れ歯は慣れも必要ですし、毎日自分で外して清掃が必要になります。

三つめはインプラントという方法です。インプラントは欠損部位の骨にインプラントを埋入し修復する方法です。インプラントは保険適用外であることと、外科処置が必要になります。最大のメリットは両隣の歯を削らなくてもよいことです。土台部分の骨を削ったりすることで不安視されがちですが、ある程度の治療成績も期待できますし、安全も確立されています。

もし欠損部位を放置しておくと歯は水平移動することはなく欠損方向に傾斜してきます。そうなるとその部分の噛み合わせが変わるだけでなく歯列全体の噛み合わせが変わってきます。欠損を放置すると見た目だけでなく機能的にも悪影響を及ぼします。
残念ながら欠損が生じた場合は早めに治療することをお勧めします。
                                                                                                                        歯学博士 今村英之 

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.06.07更新


こんにちは八幡西区の歯医者、いまむら歯科クリニックの院長今村です。
むし歯で歯が欠けてしまうと修復が必要になります。現在では材料学が進歩してたくさんの素材がありますが、保険で使用できるもの保険外で使用するものと決まっています。

保険
まず保険で使用するものについて説明しましょう。
保険診療は使える素材が部位によって決まっています。下の小臼歯の場合、一般的には金銀パラジウムの金属インレー、削った部位が小さい場合はコンポジットレジンによる修復で対応します。金銀パラジウムはいわゆる銀歯のことです。保険適応の金銀パラジウム合金は金の含有量が12%以上、その他銀とパラジウムを含む金属と規定されています。保険適応の金属はすべてJIS規格のものなので安心です。余談になりますがテレビやネットのニュースでも報道されたことがありご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この金銀パラジウム合金がすごく高いのです。金属なので価格変動があり高値のときは金属のかぶせ物、詰め物をすると保険点数は決まっているので赤字になってしまいます。この金銀パラジウムの高騰は私たち歯科医師を悩ませています。
この金銀パラジウムで修復するメリットは保険適応なので患者さんの経済的負担が少ないことです。金属で強度もあるので耐久性もあります。
削った部位が小さい場合に行うコンポジットレジンは白色の歯科用のプラスチックです。むし歯が小さく十分に歯質が残っている場合が適応になります。コンポジットレジンは保険適応で1~2千円の自己負担で治療ができます。ただケースを選びますのでできるかどうかは診断をしてからになります。たまに患者さんで奥歯も保険の範囲で白くしたいのでコンポジットレジンを詰めてほしいと要求される方がいますが、適応外のケースに無理に行うと欠けたり外れてしまいます。
コンポジットレジンは特殊な光を当てて硬化させます。硬化させる前は柔らかいペースト状なので、内側性(四方に歯質がある)の小さなむし歯が対象になります。銀歯より目立ちにく白い詰め物で修復したいものですが無理な治療は後々トラブルの原因になります。

保険外のものだと金属修復ではゴールドがあります。白いものならジルコニアやe-maxがあります。
ゴールドはいわゆる金歯です。見た目は目立つかもしれませんが延びる性質があり保険の金属に比べると柔らかいのでフィットがよく、対合歯(反対側の歯)を摩耗させることがありません。
ジルコニアは高圧縮されたセラミックのブロックを削って作製します。そのため高い強度を持っています。e-maxは高い強度と透明感をもっているため審美性に優れています。
ジルコニアとe-maxの違いは強度と審美性にあります。審美性ならe-maxの方が優れています。強度はジルコニアに軍配があがります。噛む力が強い男性の奥歯などはジルコニアが適しています。一方、笑ったり大きくお口を開けるとみえる小臼歯の部位はe-maxのほうが向いています。その方の噛み合わせの状態や習癖(歯ぎしり)を考慮して素材を選択する必要があります。
                                                                                                                       歯学博士 今村英之

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.05.09更新


新型コロナウィルスがまだまだリバウンドを繰り返し減ったり増えたりしています。福岡県は3度目の緊急事態宣言が発令されました。人類の歴史は感染症との闘いだったと言われています。インフルエンザウイルスや他の感染症に対しては特効薬やワクチンがあります。新型コロナウィルスに対してもワクチンが開発され医療従事者から優先的に行われているようですが、副作用の問題など課題があるようです。当院も2月にワクチン接種希望者の申請をしましたが、まだ順番が回ってきていません。コロナウィルスに対するワクチンや特効薬の有効性が確立しなければ、マスクの着用、3密も回避、イベントの自粛が行われまだまだ本来の生活様式に戻ることはないでしょう。

グラフ

さて、先日国会答弁で口腔ケアの重要性が取り上げられていましたのでお話したいと思います。
歯科医院ではお口を開けたままでの状態で飛沫もとぶので、コロナウィルスの感染に対して歯科治療は危険だと危惧されていました。しかしこの1年間、歯科治療を介して感染が拡大したような事例はないといわれています。たしかに歯科医院での感染やクラスターも報道されたことがありましたが、それは歯科医院に勤めている従業員が外部からもらってきたものを歯科医院で感染拡大させてしまったものです。ちなみに当院では従業員には会食や不要不急の外出などを自粛するようにお願いし、昼食時もスタッフルームではなく別々に食べるようにしています。せっかくのお昼ご飯、楽しく話しながら食べたいものですが、万が一コロナ感染者が出た場合に被害を最小限にとどめるためそのような措置をとっています。ではなぜ医科の病院ではクラスターの発生などがたびたび起こってしまいましたが、なぜ歯科医院ではそのようなクラスターが起こらなかったのでしょうか。それは私たち歯科医師、歯科衛生士は常日ごろからマスクやグローブをして診療を行っています。器具の滅菌消毒、診療台の清掃も患者さんごとに行い、コロナウイルスの感染だけではなく他の感染症に対しても自分が感染しないように患者さんを感染させないように十分に注意をしています。
口腔ケアは感染症に対しても有効であり、感染防止のためには3密を避け手洗い十分な睡眠と栄養を摂り適正な歯みがきを行うとも大切です。適正な歯みがきは自己流ではなかなかきれいに磨けません。特に歯石は歯みがきでは取り除くことはできず、歯周病菌の巣になってしまいます。ふだんから歯科医院で定期検診、歯石除去を行っておく必要があります。

 

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.03.14更新


こんにちは。院長の今村です。

 福岡県のコロナウイルス感染の緊急事態宣言も解除されましたが、まだまだ新規患者が増えており予断が許せない状況です。東京オリンピックの準備も進められているようですが、無事に開催することができるのか不安です。

さて、今回は入れ歯についてお話したいと思います。入れ歯には保険の範囲で作れる入れ歯と保険外で作る入れ歯があります。

入れ歯
どちらがよく噛めるのかといえばそんなに大きな差はありません。よく噛める入れ歯とは簡単にいうと動かない入れ歯です。保険の入れ歯だからといって機能的に問題があるわけではありません。しかしもっと快適に噛みたい場合や見た目をよくしたい場合保険と自費の違いが出てきます。
保険の入れ歯の歯ぐきを覆う部分(義歯床といいます)はアクリルレジンというプラスチックの一種でできています。プラスチックではどうしても強度的に弱いので割れるのを防ぐためにある程度厚みが必要になります。厚みを確保するとどうしてもお口の中で存在感があり違和感、異物感が生じてしまいます。一方自費の入れ歯では義歯床の一部を金属にすることができます。金属にするとアクリルレジンで作製するより強度を保ちながら薄くすることができるので、お口の中のスペースが広くなります。広くなると舌の動くスペースができるので使い心地が向上します。また薄くなり金属も使用するので食べたものの温度も伝わりやすくなります。また人工歯の部分も変色しにくい丈夫で長持ちするものを使用します。保険と自費の部分入れ歯の大きな違いは快適性だと思います。

また保険の入れ歯で一番気になってしまうのがクラスプという入れ歯を固定するバネです。クラスプは保険の入れ歯では金属で作製するので目立ってしまいます。自費の部分入れ歯の場合、このクラスプの材質を変えたり、クラスプを使用しない義歯もあります。クラスプを使用しない固定法にはいくつか種類があります。磁石やアタッチメント(ボタンのようなもの)で固定するタイプは目立たず、残った歯への負担も軽減されます。コーヌスクローネ、AGCテレスコープ義歯は被せ物と義歯を連結した義歯で見た目がきれいで外れにくい義歯です。
見た目が気になるかたに一番手軽なのがノンクラスプデンチャーという部分入れ歯です。これは保険義歯のクラスプという金属のバネの部分が歯ぐきと同じピンク色でできています。このタイプは金属アレルギーの心配がないという利点もあります。
保険と自費の部分入れ歯の大きな違いに設計の自由度があります。保険の入れ歯では使用する材料や設計に制限があります。自費の部分入れ歯の場合制限がないため設計の自由度があがり、患者さんのお口にフィットするものを提供できます。いまむら歯科クリニックでは様々な特殊な技術を要する義歯の作製にも対応しております。

投稿者: いまむら歯科クリニック

2021.01.31更新


こんにちは。院長の今村です。1月も今日で終わりです、早いですね。

今回はエナメル質形成不全と紫外線の関係についてお話します。

紫外線を浴びることで体内に合成されるビタミンDは骨や歯の成長には必要です。が、このビタミンが欠乏しているお母さんたちの胎内で育ち母乳で育てられたお子さんたちにエナメル質が弱い「エナメル質形成不全」が増えています。

歯のできがよくないエナメル質形成不全のお子さまが増えてきています。私たち歯科医師も普段診療をしていて実感します。10年前であれば10人に1人くらいの割合でしたが、細菌のデータでは5人に1人くらいに増加しています。

歯は乳歯でも永久歯でも形成される時期は決まっています。エナメル質のできに問題がある場合、その時期に歯の発育を妨げる何らかの問題が生じています。その時期は乳歯なら妊娠4~5か月くらいにエナメル質が形成されます。永久歯は生まれてから硬くなりはじめ3歳くらいまでにエナメル質ができあがるのでこの時期に何らかの問題が生じています。

妊婦

考えられる原因は遺伝的要因と環境的要因があります。歯が正常に育たない遺伝子をもつお子さんや高齢出産が増えると増加するとされる遺伝病が歯の発育に影響を及ぼすこともあります。しかし環境的要因も考えらえます。歯が形成される妊娠期から出生後の幼児期までの環境に問題が起きていると考えられます。
原因はおそらくビタミンD欠乏症と考えられています。
エナメル質形成不全は世界中で増加しているといわれていますがアメリカではあまり増加していません。アメリカはビタミンDの摂取を推奨しており食品に添加していたり妊産婦にサプリメントを取らせたりしています。ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を促進し骨や歯の発育には必要な栄養素です。実際にビタミンD欠乏症が原因でお子さまのクル病が増えていると報告があります。これと同じように歯の成長期におけるビタミンDの不足がエナメル質形成不全をおこしているのではないかというのが有力説になります。

母乳保育のほうがビタミンD欠乏症のお子さまが多いといわれています。お母さんのビタミンDが欠乏していることで、その母乳で育ったお子さまにも影響が出てしまします。
お母さんたちのビタミンD不足は食生活の変化が原因です。ビタミンDは魚やキノコの多く含まれていますが、最近では魚はあまり食べない若い方が増えているのではないでしょうか。もうひとつは紫外線対策によるビタミンDの欠乏が原因です。ビタミンDは食べ物から摂取する以外に皮膚が紫外線を浴びて体内で合成され、質の良いビタミンDを得ることができます。
夏前になると多くのメーカーから日焼け止めクリームが発売されます。女性の方は熱心に顔だけでなく腕や足にも塗ります。
食生活の変化と徹底した紫外線対策がエナメル質形成不全の原因と現段階では推測されています。確定したデータを得るにはあと数年かかります。エナメル質形成不全は歯の構造がもろいのでむし歯のリスクが高く、詰め物をしてもはずれやすいので治療を行っても繰り返してしまいます。
エナメル質形成不全を増やさないためにビタミンDの欠乏に気をつけてください。

 

投稿者: いまむら歯科クリニック

2020.12.24更新

こんにちは。院長の今村です。今年も残すところあとわずかとなりました。コロナ渦でイベントが少ないせいか、時間が経つのがいつもより早く感じます。

さて今回はフッ素についてお話しましょう。

むし歯予防にたいへん効果のあるフッ素。フッ素は私たちの身近の土や海、川の水にも含まれている自然界にも存在するものです。今回は歯科医院で受けるフッ素歯面塗布ついてお話します。
フッ素の歯面塗布は歯の表面に高濃度のフッ素を塗るむし歯予防の方法のひとつです。フッ素の歯面塗布は何歳くらいから受けると良いかご存知でしょうか?
答えは1歳半です。
当院のある北九州市では1歳半歯科検診の案内がお子さまが1歳半になると市からはがきでお知らせがくると思います。この頃のお子さまのお口の中の状態は奥歯もしっかりはえてきてしっかりとご飯も食べられるようになるので、離乳もすすみむし歯のリスクが高くなってくるのでむし歯予防に取り組む必要があります。検診と一緒にむし歯を予防するためにフッ素塗布を行うと効果的です。

フッ素

フッ素の歯面塗布ってどんなことをするのか心配だと思う方もいらっしゃるかと思いますが、お子さまでも簡単に受けることができます。歯の表面に直接ジェルや泡状のフッ素を塗って歯を丈夫にします。ご自宅で行う歯みがき剤や洗口液によるむし歯予防と違うのは歯科医院で使用するフッ素は濃度が高いものを塗布します。現在、日本で販売されている歯みがき剤にはほとんどフッ素が入っています。しかし、一般の歯みがき剤のフッ素濃度は高くても1500ppm。ちなみに歯科医院でフッ素歯面塗布に使用するものの濃度は9000ppmもあります。ぜんぜん濃度が違うでしょう。これは歯科医院でしか取り扱うことができず、一般の方がご自宅で使用することはできません。濃度が高くても身体に悪い影響を与えることはありませんのでご安心ください。

フッ素塗布剤を歯面に塗っておくと歯の表面にむし歯になりにくい硬い結晶構造ができますが、これは定期的に歯科医院で受けていないとむし歯の予防効果は下がります。少なくとも年に2,3回、むし歯ができやすのであれば年に5,6回は受けることをお勧めします。
年に2回の塗布だとむし歯予防効果は20%くらいですが、やったりやらなかったりだとあまり効果がないといわれています。

フッ素の歯面塗布は生えたての歯に一番効果があります。生えたての歯は幼弱でむし歯になりやすい状態です。でもその分フッ素を取り込みやすく表面も硬くなりやすい状態です。乳歯をむし歯から守るなら奥歯が生えてきた1歳半くらいが適しています。永久歯を守るなら第二大臼歯が生え終わるまで続けると良いでしょう。中学生までは定期的に歯面フッ素塗布を受けるのがいいです。あと大人でも歯周病によって歯ぐきが下がってしまい歯根が露出した場合の根面う蝕の予防にも効果的です。
むし歯のない健康なお口はお子さまへの素晴らしいプレゼントです。

投稿者: いまむら歯科クリニック

2020.12.06更新


こんにちは。院長の今村です。まだまだ新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっています。収束するにはもう少し時間がかかりそうです。新型コロナウイルスだけでなくSARS,MERSとウィルスによる感染の脅威はあります。毎年冬になると流行するインフルエンザもありますね。このような感染症から身を守っていくには、手洗いうがいの他にも歯みがきが有効だと言われています。

新型コロナウイルスから身を守る方法としてマスクの着用、手洗いうがい。そして栄養と休息をとり体調の管理を行うことと、「3蜜(密閉空間・密集場所・密接場面)」を避けることです。あともうひとつウィルスに対する防御力をあげる方法として「ていねいな歯みがき」です。
100年前にスペイン風邪が流行したときのデータですがこのような報告があります。

感染
歯周病になっていた人のスペイン風邪の罹患率は72%に達し、重篤になる人も多かったのに対し、歯周病になっていない人の罹患率は32%でした。当時はお口の健康とウィルスが起こす感染症については何らかの関係性があることが示唆されていましたが、これ以上のことはわかっていませんでした。しかし現在の研究では、危険なウィルスが体内に入り込むときに「歯周病菌がその手引きをしている」ことが明らかになってきています。
お口の健康とからだの健康のかかわりについて徐々にみなさまに知られてきてますが、お口の中のプラークを丁寧に取り除き歯周病を予防することが感染症対策になることはまだあまり知られていないようです。

スペイン風邪が流行した100年前も高度な医療がありませんでしたが、現在有効な治療薬やワクチンがないという点では、100年前と同じように不安な状況下でコロナウイルスを警戒しています。感染リスクを下げて自分の身をまもるためには丁寧な歯みがきを心がけて歯周病を予防しましょう。
歯みがきのポイントは歯ブラシの毛先が的確な場所にしっかりとあたっているかを意識しながら歯みがきをすることです。またふだんから歯科医院で定期的に歯石を除去したりしてメンテナンスを受けている方はいざというときに差がでます。
アドバイスとして殺菌作用のある歯みがき剤をつかい歯みがきの効果をあげることです。
薬用歯みがき剤に含まれている成分に塩化クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウムは歯に付着するプラークの表面にしみついて、抗菌作用があります。また植物から抽出した抗菌作用のある精油のチモールやイソプロピルメチルフェノールはプラーク内への浸透性があり殺菌作用を発揮します。

投稿者: いまむら歯科クリニック

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