八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニックです。
今回は入れ歯についてのお話です。
入れ歯の歴史は約5000年になります。日本で最も古い入れ歯は室町時代のものらしく、木製の床(しょう)を使用していたそうです。後にゴムの床になり、後々に現在のプラスチックの床に変化してきたということです。
プラスチック製の床の良いところは
①軽い
②歯ぐきにやさしい
③調整しやすい
④保険適用できて比較的安価である
などがあります。
ただ、お口の中の形と完全に一致させるのが難しいため、微妙な違和感にお悩みの方が多くいらっしゃいますし、衝撃に弱く欠けたり割れたりすることもあります。
これに対してチタン等の金属を使用した床があります。
金属床の良いところは
② お口の中の形にほぼ完全に馴ませることができる
②強度があるので割れにくい
③ 薄くできるので違和感が少ない
④ 熱さ、冷たさが伝わりやすい
などがあります。
但しこの金属床については保険外診療となっています。
保険外には、金属のバネがかからず見た目の違和感が少ないノンクラスプデンチャーや、残っている歯をかぶせ物で加工して凹みを作り、パズルのように入れ歯をはめ込むことで、バネが無くても動きづらくしっかり噛めるミリングデンチャーなど数種類の入れ歯があります。
それぞれの入れ歯には長所と短所がありますので、気になる方は遠慮なく聞いて下さい。
では、入れ歯が出来るまでの流れを簡単に説明します。
①金属のトレーを使って、お口の中の型をとります。(1回目)
②一人ひとりのお口の中に合わせて作った個人トレーを使って、お口の中の型を精密にとります。(2回目)
③ろうで作った咬合床で、噛み合わせの高さなどを決めていきます。
④仮の状態の入れ歯をお口の中に入れて、噛み合わせの高さや歯の並びなどを確認します。
⑤仕上げた入れ歯をお口の中に入れて、きちんと合っているか、しっかり噛めるか、痛いところはないか確認して調整していきます。
このように1回目の型取りから4回のステップを踏んで入れ歯が仕上がっていきます。
そして次のステップへ進むための製作期間としてそれぞれ1週間ほどお時間を頂いていますので、入れ歯が仕上がるまで順調にいって1ヶ月位かかります。
入れ歯が完成した後も、しばらくの期間実際に使っていただき、痛い所や噛み合わせなどを調整していきます。
入れ歯は、詰め物やかぶせ物のように型をとって次に出来るというわけにはいきません。細かいステップを踏んで少しづつ仕上げていくのです。
以上、入れ歯が出来るまででした。
お口の中のバランスを保つためにも、歯がない状態を放置しないようにしましょう。
歯が抜けたままになっていると、噛む力が低下するばかりでなく、残りの歯に負担がかかり過ぎて歯が傾いてくることがあります。また、噛み合う歯がないと歯は伸びてくるので、歯ぐきにあたって傷付けることもあるのです。
放っておくとどんどん噛み合わせが悪くなっていきますので、歯は抜けたままにしないようにしましょう
次に入れ歯のお手入れ方法についてお話しさせて頂こうと思います。
皆さんはどの様にお手入れされていますか?

入れ歯の方は食事の度に外して洗ったり洗浄剤に浸けたりと大変ですよね。入れ歯はプラスチックで作られているのでプラークや着色が付きやすくなっています。不衛生な入れ歯をそのまま使い続けていると、細菌の影響で歯茎が炎症を起こしたり口臭が発生しやすくなります。更に部分入れ歯のバネの所が汚れたままになっているとバネのかかる歯が虫歯や歯周病になってしまいます。また体力の低下しているご高齢の方に多く見られる誤嚥性肺炎も入れ歯に付着した細菌が原因で起こる事がありますので、いつも清潔にして使いましょう。
皆さん食事をした後は歯を磨くように入れ歯も同じで磨いてあげないとプラークが付き細菌が繁殖して入れ歯がヌルヌルになってしまいます。そして入れ歯に付いたプラークは数日で固まってきて歯石化してしまいます。歯石になるとブラシで洗っても取れなくなりますのでそうなる前に毎食後入れ歯を外して洗う事を習慣にして下さい。ただ入れ歯を洗う時の注意点がありますので次の事を守って下さいね。
入れ歯はプラスチックで作られているため傷が付きやすいです。
一度傷が付いてしまうと深い所に細菌が入り込んで菌が繁殖してしまいますので、入れ歯を磨く時は歯を磨く歯ブラシよりももっとやわらかい入れ歯専用のブラシを使って優しく丁寧に磨く様にして下さい。また歯を磨く歯磨き粉の中には研磨剤が入っている事が多く入れ歯を傷付けるため絶対に使わないで下さい。
入れ歯はお手入れを間違うと細菌の温床になってしまいます。
有害な細菌を除去するために専用のブラシや洗浄剤を使って毎日きちんとお手入れする事が大切です。





