こんにちは。八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニック、今村です。
超高齢化社会の日本では1965年には153人だった百歳越えの方たちは2020年には8万人を超えました。またあるデータでは2007年生まれの半数は107歳まで生きると予測されるほど、日本人の高齢化が進んでいます。
でも、寿命が伸びるからといって健康に長生きできている人が増えているわけではありません。糖尿病の方は予備軍を含め約2000万人いると言われていますし、60歳以上の高齢者の2人に一人は認知症になるというデータもあります。肺炎や誤嚥性肺炎などの感染症は、変わらず多くの高齢者を苦しめています。長生きするなら、健康で元気に生活を送りたいものです。そのキーポイントの一つが、お口の健康です。さまざまな病気にお口の健康が深く関連しています。また、残っている歯の本数が、寝たきりになるリスクや寿命に影響していると言うデータもあります。お口の健康は全身の健康に関わるケースはいくつもありますが、今回は糖尿病、認知症、感染症、寝たきりになるリスクとの関連、歯科医院で受ける予防指導の大切さについてご説明いたします。
糖尿病になり高血糖の状態が何年も続くと、血管が弾力を失い硬くなりもろくなってしまいます。その影響は毛細血管で特に現れてきます。そして血液の流れが悪くなり酸素や栄養の供給も滞ります。腎臓などの内臓や網膜には毛細血管が張り巡らされており、神経に栄養を運ぶのも血管です。よって、糖尿病により血管がもろくなってしまうとやがて臓器不全や失明、神経障害などの合併症を引き起こします。そのような糖尿病を悪化させるのが歯周病です。
人の膵臓からは、インスリンという血糖を下げるためのホルモンが分泌されています。このインスリンが充分に働かなくなり、血液中を流れるブドウ糖を体内に取り込めなくなると高血糖になります。インスリンが働くなくなるケースには、インスリンの分泌自体が減っている、インスリンの働きが悪くなっていると二つあります。日本人の糖尿病患者さんの大半は「2型糖尿病」と言われインスリンの効きが弱くなっているケースがほとんどです。
インスリンの効きを悪くするのは体の中で起こる炎症です。
脂肪を貯め込んだ内臓脂肪は免疫細胞を刺激して体に炎症をおこします。この時生み出される炎症物質が血流に乗って体内に広がり、インスリンの働きを阻害します。
歯周病もお口に炎症をおこしています。腫れや出血、痛みは炎症が原因です。歯周組織における、免疫細胞と細菌のバランスによって、炎症物質が同じように血流に乗って体内に広がりインスリンの働きを邪魔します。よって、「歯周病が糖尿病を悪化させる」とは糖尿病と歯周病になっている場合、内臓脂肪からの炎症に加えお口で起こっている炎症がインスリンの働きを邪魔するのです。歯周病が治ればお口からの炎症がなくなるので、糖尿病にも良い影響を与えます。