八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニックです。
今回は乳児期のお話をしようと思います。
まず、乳児期のお口の状態は
・お乳やミルクを吸うのに適した形
・あごの成長
・乳歯が生えてくる
・よだれ
・前歯で遊ぶ
・奥歯が生える
以上の変化があります。一つ一つ詳しく書きますね。
お乳やミルクを吸うのに適した形
うまれたばかりの赤ちゃんのお口には歯がありません。あごも小さく歯ぐきも平らなので舌かお口におさまりきらずに、上下の唇の間から見えています。お腹の中で準備された反射の行動で母乳・ミルクで吸うことが出来ます。お口の中のつくりも上顎の凹みや、頬にある膨らみは乳首を上顎と舌の間に密着しやすくして効率よく吸える助けになっています。
あごの成長
乳児期歯あごの成長が目立ちます。特に生後半年は下あごの成長が著しいです。うまれた時は上あごが下あごよりかなり後ろにありますが、乳歯が生える頃には上と下のあごがちょうど合わさるようになります。
乳歯が生えてくる
一般的には生後6,7ヵ月頃に舌の前歯から乳歯が生えてくることが多いです。(この時期は個人差が大きいです。3,4ヵ月で生える子や、1才近くになり生えてくる子もいます。生える順番も個人差があるので、あまり気になるときは病院で聞いてみてください。)
よだれ
生後半年頃によだれが増えてきます。この時期は「乳歯がはえはじめる・離乳食が始まる・指しゃぶりやおもちゃ遊び」などのお口への刺激が増えて、だ液が沢山出てくるようになります。
この頃の赤ちゃんは唇を上手に使えずにお口が閉じてないことが多いので、よだれが外に出てしまいます。離乳食がすすむと唇も上手に使えるようになるのでよだれは徐々に減ってきます。
前歯で遊ぶ
今までなめて遊んでいたおもちゃを前歯で咬み遊ぶようになります。なめただけでは分からない硬さや弾力性などを確かめています。歯ぎしりも目立つことがあります。これは上下の歯の位置関係や、噛み合う感触を確かめる行為なので心配いりません。
奥歯が生える
一才前半には奥歯が生えはじめます。奥歯が上下生えてくることで「すりつぶす」ことができるようになります。またかみ合わせができるようになるので、お口の中が広がって舌を動かしやすくなり「食べる」こと「言葉を話す」ことが発達してきます。
こうやって書き出すと赤ちゃんのお口はこの期間に大きく変わるのが分かります。では、次はそんな乳児期のお口のお手入れや管理についてお話します。
●歯がはえるまで
6ヵ月頃までは歯がないお子さんが多いです。歯のないお口は母乳やミルクは、だ液と共に飲み込まれて自然にキレイになります。時々舌に白い苔のようなものがつくことがありますが、一時的なものなら無理にとらなくて大丈夫です。
歯が生える時期が近づいたらときどき口の中を指でさわってあげて下さい。指先は乳首の形に似ていて抵抗の少ない刺激になります。赤ちゃんが指で触られる感触に慣れていれば、歯みがきの第一段階のガーゼみがきもスムーズにはいれます。
●乳前歯の生えはじめ
生後6~8ヵ月くらいに下の前歯が生えてくる子が多いです。
下の前歯についたミルクや離乳食の汚れは、この時期に増えているよだれによって洗い流されてしまいます。下の前歯だけの時期は、まだ積極的に磨くよりも湯冷ましやガーゼで拭いてあげる程度で大丈夫です。そして生後半年をすぎると、親や兄姉のまねをしたがる時期でもあります。お家で歯みがきをしている場面を見せたり、歯ブラシを一緒に持たせて口の中に入れてみたりなど歯みがきや歯ブラシの感触に慣らせていきましょう。
生後10ヵ月くらいに上の前歯が生えてきます。上の歯はよだれでは汚れがとれにくい所なので、歯ブラシになれてきたら1日1回(できれば夜に)歯みがきの習慣づけをはじめてみて下さい。まだこの時期もきちんと磨くより、歯みがきに慣れることが大切な時期です。寝る前だと機嫌が悪くなる場合は、夕食後の機嫌がよさそうな時に手速くみがいてください。
●奥の乳歯の生えはじめ
1才になって離乳食も完了期に入った頃は奥歯が生え始めます。奥歯がは咬む面に「溝(みぞ)」があり、汚れや食べカスがつきやすいので歯ブラシでのおそうじが必要になります。特にこの時期はこどもの口の中に虫歯菌が定着しやすいです。さらに虫歯菌の栄養になる甘いものを食べ始める子も多い時期なので「1日1回はきちんと歯をみがく」習慣をはじめてみて下さいね。
歯みがきのポイントは
・歯ブラシはヘッドが小さく毛さきも短め
・鉛筆を持つように
・毛先を歯の表面にあてたら軽い力で動かす
です。
歯ぐきに毛先があたるお痛いので歯みがきを嫌がる原因になるので注意してください。
どうしても歯ブラシを嫌がるならガーゼに戻って慣らしてみたり、多少嫌がっても磨けた場合は、終わったあとに「よくできました!」とほめてあげて下さい。また自分で磨こうとする子も出てきます。歯みがきへの意欲を育てるのもとっても大事なので、まず自分の気がすむまで磨かせてその後に仕上げみがきをしてあげましょう。
1才までに虫歯ができる子は少ないですが、1才半検診では上の前歯に見られることが多いです。理由は上の前歯はだ液であたりにくく、汚れが落ちないことや哺乳瓶で飲む時にまず最初にあたることがあります。
虫歯を防ぐ為には甘いものの量や、時間をかけてのダラダラ食べ飲みに注意が必要です。お昼寝や就寝前の哺乳瓶や授乳の習慣をなくしていく、まだ難しい場合は、授乳後にはお水やお茶を飲ませてあげるなどお口のケアをしてあげて下さい。
乳歯は生え変わりますが、小中学生くらいまで長く使う大切な歯です。お手入れに不安があったり心配事がある時は、病院で気軽に先生やスタッフにいつでも相談してください。