八幡西区の歯医者いまむら歯科クリニックです。
当院では、口腔機能低下症の検査を導入して行く事になりました。今回は、口腔機能低下症について説明します。
年のせいで片付けないで!全身の健康を脅かす口腔機能低下症の正体とは?
最近、硬いものが噛みづらくなったな。お茶を飲むときに、なぜかよくむせる。口の中がパサついて、話しにくさを感じる。シニア世代の方や、そのご家族の皆さま、このようなお口の変化をもう年齢だから仕方がないと見過ごしていませんか?
実はこれらの症状は単なる加齢による衰えではなく、口腔機能低下症という立派な病気のサインかもしれません。
お口は食事を楽しむだけでなく、人と会話をしたり、表情を作ったり呼吸をしたりと、生きていく上で欠かせない重要な役割を担っています。今回は、近年医療の世界でも特に注目されている口腔機能低下症について、その原因や全身に及ぼすリスクを詳しく解説します。

1. 口腔機能低下症とはどんな病気?
口腔機能低下症とは、お口に関するさまざまな機能(噛む、飲み込む、話す、潤うなど)が、複合的に低下してしまった状態のことを指します。人間は年齢を重ねると、筋力や骨の量が少しずつ減っていきます。これと同じことが実はお口の中でも起こっています。
・顎の力が弱くなり、硬いものが噛めなくなる
・舌の筋肉が衰え、食べ物を上手に喉へ送り込めなくなる
・唾液の分泌が減り、口の中が乾燥するこうしたお口の小さな衰えがいくつも重なり、日常生活に支障が出始めている状態が口腔機能低下症です。2018年からは、65歳以上の高齢者を対象に健康保険が適用される病気となりました。
2. なぜ起こる?
口腔機能低下症の主な原因として口腔機能低下症を引き起こす背景には、大きく分けて3つあります。
① 加齢による筋肉や神経の衰え身体の筋力が落ちるのと同じように、食べ物を噛み砕く咀嚼筋や、食べ物を丸めて喉へ送り出す舌の筋肉も年齢とともに衰えていきます。また、食べ物が口に入ったことを脳に伝える神経の感度が鈍ることも原因の一つです。
② 虫歯や歯周病による歯の喪失歯周病や虫歯などで歯を失い、さらに合わない入れ歯をそのまま使い続けていると、食べ物をしっかり噛みしめることができなくなります。噛む刺激が減ることで、さらに顎の骨や筋肉が痩せていくという悪循環に陥ります。
③ 薬の副作用や病気による影響持病のために服用している薬(高血圧の薬、抗うつ薬など)の副作用で、唾液の分泌量が減り、お口が乾燥しやすくなることがあります。また、脳梗塞の後遺症などで口のまわりの麻痺が残ることも原因になります。
3. 放置すると怖い!
口の機能が落ちるくらい、命に関わるわけじゃないと思う方もいるかもしれません。しかし、口腔機能低下症の一番の恐ろしさは、お口だけでなく全身の健康を一気に崩してしまう引き金になる点にあります。このお口から始まる全身の衰えの連鎖を、具体的には、以下のような恐ろしい負の連鎖が起こります。
連鎖①:食の偏りと栄養失調お口の機能が落ちると、お肉や生野菜などの硬いものを避け、うどんやおかゆといった柔らかい炭水化物ばかりを好むようになります。その結果、タンパク質やビタミンが不足し、深刻な栄養失調(低栄養状態)に陥ります。
連鎖②:全身の筋力低下(サルコペニア)栄養不足の状態で日常生活を送っていると、今度は足や腕など、全身の筋肉量が急激に減少していきます。歩くスピードが遅くなったり、ちょっとした段差でつまずきやすくなったりして、寝たきりのリスクが一気に高まります。
連鎖③:誤嚥性肺炎の危機飲み込む力が衰えると、本来は胃に入るべき食べ物や水分、お口の中の細菌が、誤って気管や肺に入ってしまう誤嚥が起こりやすくなります。これが、高齢者の命を脅かす大きな原因である誤嚥性肺炎につながるのです。
4. 最大のポイントは「気づけば元に戻せる」
ここまで恐ろしいリスクをお伝えしてきましたが、けっして悲観する必要はありません。口腔機能低下症の最大の救いは、早期に発見して適切なケアを始めれば、元の健康な状態に回復できるという点です。手足の筋肉と同じように、お口の筋肉も、正しく動かしたりトレーニングをしたりすることで、何歳からでも鍛え直すことができます。最近、ちょっと食べこぼしが増えたかな、少し話しづらいなと感じたらそれは身体が発してくれている大切なサインです。そのサインを見逃さず、かかりつけの歯科医院で定期的にお口の状態をチェックしてもらうことが、いつまでも若々しく元気に過ごすための第一歩となります。
5. まとめ口腔機能低下症は、静かに、しかし確実に全身の健康を蝕んでいく病気です。年だから仕方がないと諦めてしまうのが一番の禁物です。





